Tさんは服装関係の学校で教壇に立たれており、外国でよく講演をされる方です。
そのTさんから、こんなメールをいただきました。
ある時、Tさんは中国で講演することになりました。
多くの国の服飾関係者が参加する場で、講演は英語で行います。
Tさんは講演にあたり「アルファベット70音」を思い出し、講義用の原稿のすべての単語のアクセントに、YESメソッド発音法が提案する通じる英語のアクセントマークをつけ、発音に注意を払いながらスピーチにのぞみました。
講演の直後、フランス人とスペイン人の関係者がそばに寄って来て、こう言ってくれたそうです。
『あなたの英語はとてもよかった、わかりやすかった』
Tさんからは「小倉さん、これは、あなたの主張する70音の結果です。この効果を是非、皆さんにお伝えてください。」とエールを頂きました。
英語話者はアクセントを聞いて意味を判断するといいます。
「アルファベット70音」はアクセントのルールをはっきり示しています。
母音を中心に発音を教える専門の先生がいるって聞いたことありますか。
しかも、アメリカになんです。
私はあるウオーキングクラブに属しています。行きも帰りも、歩きながらはもちろん、目的地まで乗り物にのった時もいろいろ話が弾みます。
ある時、隣りに座ったMさんと話が弾んでいました。
すると、たまたま前に座った人の新聞を見て彼女が言いました。
「アメリカでは、あのような写真は新聞に載ることがありません。」
その言葉から話をしていると、彼女はかつてアメリカにいらしたことがあると分かりました。
ふと私の探求心が頭をもたげて、Mさんにハットの発音をお願いしてみました。
「ね、ハットって言ってみて!」
「ハアトゥ」
「もう一度言ってみて!」
私は耳を、目を疑い、何度も発音をお願いしてしまいました。
なんとMさんは、アクセントを母音のアにおいて、3音で「hat」の発音をするではありませんか!
それは私の主張する世界に通じる発音の口の形と同じだったのです。
そんなふうに、発音記号通りの発音する日本人にお目にかかったことがありません。
彼女の発音を聞いて私は驚き、彼女は私が驚いたことに驚いたわけです。
それから電車が目的地に着くまで、私たちはその話で持ち切りになりました。
話の中で、アメリカには、日本人駐在員の奥さんや子供たちに、英語の発音を母音中心に教える「母音の先生」と呼ばれる先生がいることを知りました。
ご主人の赴任先は、ニューヨークのマンハッタンから1時間車で走ったところとか。
到着早々先、赴任している先輩奥様から進められて、Mさんのお子さんは、その母音の先生から発音の個人レッスンを受けたそうです。
今ではネイティブのような発音をする子供の真似はとてもできないとおっしゃるMさんでしたが、どうしてその発音は完璧で、私の指摘するポイントをすべてクリアしていました。
「70音」の主張する母音の大切さを、アメリカ人が日本人の子供にレッスンの柱として発音の指導をしている事実は衝撃的でした。
それは、アルファべット70音発音法が世界に通じる英語の音であることが証明されたようでもありました。